朝8時から営業。シンプルなモーニングセットに惚れ惚れ

モーニング650円(カフェラテ、カプチーノは+50円)。8~11時まで注文可能

京都大学吉田キャンパス南、吉田東通沿いのカフェ。元々理容室だった建物をリノベーションし、2024年8月にオープンした。「モーニング」は、トースト、ゆで卵、飲み物というシンプルな構成が潔くて惚れ惚れ。エスプレッソマシンで淹れる濃いめのコーヒーには、喫茶店「六曜社」のマスターとして知られるオクノ修さん焙煎のオリジナルブレンド「bizou(ビズー)」を使用している。深煎りのどっしりとした芯のある味わいに、朝からシャキッとする。絶妙な茹で加減のゆで卵のぬくもりと、ご近所にあるベーカリー「チェルキオ」の雑穀入りパンを使用したトーストの香ばしさと。このほかに、何か足しても、引いても成立しない、凛とした佇まいのモーニングセット。

 

昭和の理髪店の面影を残しつつ、店内には馥郁とした「新しさ」が漂う

白く塗られた格天井は、理髪店営業当時そのまま

元々は理髪店だったというこの場所は、近くに暮らす店主の江沢さんが惚れ込み、縁あって繋がったのだそう。昭和の面影を残しつつ懐古趣味に染まらない店内からは、独自の視座とバランス感覚が滲み出る。古き良きものへの敬意を持ちつつ、「新しさ」をつくり出す。江沢さんの笑顔と穏やかな物腰の奥に、そんなしなやかな意思が垣間見える。この日は、店の一角で藍染の洋服ブランドの展示を開催。

 

日常によく馴染む、媚びない趣き

大きな鏡も理髪店時代のものを活用している

特別な「非日常」ではなくあくまでも「日常」としてそこに在る、媚びない佇まいが清々しい。地元住民や京都大学生が普段遣いする喫茶店として、早くも重宝されている。

陰影が美しく、独特の風合いのある床は手間暇の賜物

店内に少し無骨なニュアンスを与えている床は、店主自らハツリ機で斫り(はつり)、ところどころコンクリートを新たに流し込んで作り上げたもの。光を受けて生む複雑な陰影が、店の印象に独特の奥行きをもたせる。

ヨーロッパのカフェのようなメニューボードには、アルコール含むドリンク類のほか、パスタやピッツァも

バラが描かれた丸缶や球体の電灯など、店のところどころで昭和のディテールとヨーロッパの風情が交わり合う。棚の上に並べられた瓶は、Suze(スーズ)というフランス生まれの黄色いハーブリキュール。もちろん注文可能。

 

盛り付けも楽しいピリ辛トマトソースパスタ「シチリアーナ」

シチリアーナ1,000円。ピーマンの緑と、トマトースに染まった茄子の赤のコントラストが楽しい。残ったトマトソースはパンで拭って食べても

南イタリアの味、ピリ辛トマトソースのパスタ「シチリアーナ」は、厚めに切った茄子からじゅわっとソースの旨みが染み出す食べごたえのあるメニュー。少し太めのロングパスタで、小麦の風味としっかりした食感も楽しめる。コーヒーにもアルコールにも合う一品。

 

界隈のいち風景として、変わらない佇まい

店主の江沢さんは、吉田東通に面したこの佇まいに惚れ込んだのだそう

京都大学吉田キャンパスの少し南から丸太町通りまで続く吉田東通には、「タコとケンタロー」や「中華そば みみお」など、個性豊かな個人店が立ち並ぶ。「jete」も、新しくも「ずっとそこにあった風景」として、すでになくてはならない存在となっている。