季節の素材でつくるパフェは、「食感」の競演に心躍る

金閣寺近く、西陣の住宅街にあるクラフトギャラリー「PolarSta(ポーラスタ)」内のカフェ「こむぎと」。個性あふれる作品に囲まれた他にはない空間で、カフェ店主が手がける焼菓子や生菓子、グラスデザートなどが楽しめる。
なかでも人気なのが、果物をはじめ旬の素材を使ったパフェ。主役となる素材に合わせて、パフェを構成するパーツやグラスの形を変え、その年、その季節だけの特別なデザートに仕上げている。取材時は、梅雨のじめじめした空気を吹き飛ばすような「キウイのパフェ」の提供期間。ひとつのメニューは仕入れによるものの、およそ1ヶ月は楽しめるそう。

「素材の味を生かす」こととともに、店主が大切にしているのが「食感」。パフェは、次の層に出会う期待感を大切にして構成されており、ソルベのシャクッ、ジュレのフルン、メレンゲのサクサクなど、ひと口ごとに訪れる食感の変化にわくわくと心躍る。
故郷・美山の恵みを生かしたお菓子も

生菓子や焼き菓子も、素材の味わいに合わせた食感を追求。サクサク、ホロホロ、ザクザクなど、アイテムごとに異なる食感になるように工夫を凝らしている。
また、店主の故郷・京都府美山町の素材を使ったお菓子もこの店ならでは。人気のクレームブリュレには、美山産の平飼い卵や美山牛乳を使用するほか、店主の実家が育てるブルーベリーやゆずなどを使ったタルトやパフェも登場。
カフェは現在、店主ひとりで切り盛りしているので、ぜひ時間と気持ちに余裕を持って訪れて。注文後はギャラリーを見学してみるのもおすすめ。所狭しと並ぶ作品たちは、見れば見るほど引き込まれる魅力を放っていて、満足いくまで堪能するには、時間がいくらあっても足りないかも。
クラフトとアート、アンティークに囲まれた空間

築90年以上の町家をオーナーが自らリノベーション。靴を脱いであがることで、まるで友人の家を訪ねたような親しみを感じる一方、空間を満たす作品の個性に圧倒されているうちに、ふと異次元に迷い込んだ感覚もおぼえる、不思議な居心地。



2階はオーナーの審美眼で集めたアンティーク家具やインテリアで彩られ、それぞれ強烈な個性を放つアイテムの組み合わせにより、もはやこの空間そのものが芸術作品のよう。奥にあるソファ席は、80年代から活躍する日本のロックバンド「PERSONZ」のファンでもあるオーナーによるコレクションを揃え、UKロックの要素も取り入れた、赤が印象的な一角に。
ひときわ存在感を放つ、動物たち


ギャラリーや2階の客席でひときわ目を引くのが、動物をモチーフにしたアイテム。皮膚の皺や質感、姿勢に至るまでリアルに再現された、動物好きのオーナーによる陶工作品が大半を占める。特にブックエンドは、いま注目を集める代表作のひとつ。
本とお菓子に浸る、もうひとつの楽しみ方


ギャラリー内には、ジャンルレスに集められた書籍が置かれ、カフェメニューとともに、ゆったりと本を楽しむブックカフェとしての利用も大歓迎とか。一部の書籍は販売も行っている。
階段の先に待つ、日常を忘れるひととき

鞍馬口通沿い、千本通と西大路通の中間あたりにある連棟の町家。西側の2軒がギャラリー、東側の1軒がアトリエとして使われており、カフェの入り口は、西から2軒目の階段を上がった先に。焼菓子などのテイクアウトは、一番西側の階段からどうぞ。