「麺」を存分に味わえる、生じょうゆうどん

北野天満宮西側にある「三代目 今治うどん」の看板を掲げるうどん店。1950年、店主の曾祖父が愛媛県今治市にて創業したうどん店「三松」を、二代目の祖父が「美松」に改名。2019年、今治生まれで京都育ちの店主が三代目を継ぎ、京都に場所を移して再興した。
「生じょうゆうどん」は、大根おろしと小口ネギ、レモンをのせた冷やしうどん。醤油瓶が添えられて提供される今治では定番のメニューで、客が好みの量の醤油をかけて食べる。キュッと絞るレモンの爽やかな酸味と大根おろしでさっぱり。鰹出汁を合わせた醤油の香りが、うどん本来の味わいをより際立たせる。
つるつる、もちもち、程よいコシの今治のうどん


「今治うどん」は、同じ四国の讃岐うどんと比べて、表面はつるつるで食感はもちもち、コシは弱めという特徴を持つ。こちらでは、二代目の元で修行を積んだ店主が、今治時代と同じく香川県産の小麦粉を使って自家製麺。京都の人の好みに合わせ、本場よりも麺を若干細く、柔らかく仕上げている。むちっとした歯触りが心地よく、小麦のおいしさが口中に広がる。
温かいうどんやぶっかけつゆに使う出汁は、先代から受け継いだ製法を実践。四国産のいりこを12時間かけて水出ししてから煮出し、鰹や昆布の出汁と合わせている。いりこの風味が濃厚。クセになる、格別の味わい。サイドメニューには、この出汁を使った「おでん」や「出汁むすび」も人気。
自慢の出汁が染みたおでんを、今治スタイルで


セルフ式の「おでん」は、今治のうどん店で定番のスタイル。先代と同じ店から取り寄せる四国の練り物をはじめ、牛すじ、たまご、厚揚げ、こんにゃくがスタンバイ。大根は冬限定で登場する。
京都のものよりも大きくて力強い弾力の練り物は、宇和島のじゃこ天や平天、ごぼ天を用意。いりこの出汁がしっかり染みたタネたちは、うどんとの相性も抜群。うどんが出来上がるまでの待ち時間、ちょっとつまむのにぴったり!
三代受け継いできた、麺への思いは今も店に

2019年、円町・島津アリーナそばに、カウンターのみでオープン。手狭になったことから2021年に今の場所へ移転した。現在は、カウンターの他、6席のテーブルも構える。コンクリート打ちっぱなしとナチュラルカラーの木の組み合わせがスタイリッシュ。

今治の店に古くからあった書をアレンジし、店に掲げている。場所は変わっても、変わらず息づく「美松」の信念。この書を目にするたびに先代、先々代を思い「情熱をもってやれる」と店主は言う。
今治のおいしさを、北野天満宮そばで堪能

今治から三代に渡り受け継がれた味が、今、京都で広がり始めている。実直に「麺を愛し 麺を研究し 麺に生きる」店主がつくる「今治うどん」を、ぜひ「麺処 美松」で味わってみてほしい。今出川通に面した北側の、「三代目 今治うどん」の文字を目印に。