スパイスやハーブ、山野草を使用した月替りの創作コース料理

元は西陣で間借りカレー店としてスタートし、現在は創作料理のレストランとして進化を遂げているこちら。海鮮は京都市中央市場へ、野菜は大原の朝市へ仕入れに赴くなど、オーナーシェフの吉藤さんが厳選した食材を使用し、スパイスやハーブ、山野草を効かせた料理がコース仕立てで楽しめる。
内容は月替り。毎月一つの国をテーマに、その国の文化や成り立ちにまでイメージを膨らませた品々がテーブルの上に繰り広げられる。8月のテーマ国は「アゼルバイジャン」。サイドディッシュは、丸いセルクル型で形作った一品。マッシュポテトに刻み野菜のスパイスサラダを重ね、茄子のペーストやゴーヤーをトッピング。さらに「火の国」とも呼ばれるアゼルバイジャンの“大資源国”としての一面をイチジクの飾りで表現している。中東料理に欠かせないスパイス「スマック」の、紫蘇のような酸味と風味がアクセントになった独創的なひと皿。

メインディッシュは肉か魚を選ぶスタイル。取材時の魚料理は、「太刀魚のラヴァンギ 〜魚介のソースと昆布のオイル」。「ラヴァンギ」とは、鶏肉や魚にナッツやフルーツ、スパイスを詰めたアゼルバイジャンの代表的料理。それを食べやすいよう、食材を重ねるスタイルにアレンジした。ざくろの実や大原の朝市で出会った極小の真桑瓜など、一見ひと癖ある素材も見事に調和し特別なハーモニーを奏でる。スープ料理には、豆のカレーを。

インドの炊き込みご飯「ビリヤニ」とも絶妙に違う「スパイスご飯」もこちらならではの味わい。写真はカスタマイズメニューの「穴子のスパイスライス」。くるみ、プルーン、セミドライトマトの風味や食感で、アゼルバイジャンに隣接する中東らしさを演出した。
好奇心とイマジネーションを刺激する、唯一無二のスパイス料理たち

サイドディッシュとスープ、スパイスご飯を混ぜて食べる南インド風定食料理「ターリー」のような楽しみ方もおすすめ。スープやソースなどにはフレンチの手法も取り入れ、縦横無尽な切り口から「おいしさ」を探求する唯一無二のコース料理。大阪万博開催中は参加する国や地域をテーマにする。アゼルバイジャンをテーマとした内容は8月31日まで。
隠れ家のような路地奥の京町家空間は、数々の名店を育んできた場所


10月からは、ディナータイムを10品程度のコースのみとし、より大きなスケールで吉藤さんが繰り広げる味の世界を楽しめる形態になる予定。進化を遂げようとする「izon」から、ますます目が話せない。