すべての素材に魅せられる、和三盆蜜の端正なあんみつ

名菓「雲龍」で知られる京菓子司「俵屋吉富」小川店に併設されたカフェサロン。通年で楽しめる「あんみつ」は、「俵屋吉富」の中でもここだけの逸品。和三盆蜜・白蜜・黒蜜から好みの蜜を選べ、写真は人気の和三盆。ほんのり甘い蜜が寒天、白玉、粒あんの端正な味を引き立て、思わずゆっくり口に運び、ひとつひとつの素材をじっくり味わいたくなる。
見た目にもうっとり。老舗の素材が生きるあんみつ

登場した瞬間、目を奪われるのは美しい盛り付け。大きな真四角の寒天に、艶やかな二色の白玉を並べ、粒あんを丸く添える。初めて見た方は「珍しい」と驚き、リピーターの方からは「いつ見てもきれい」と、うっとりとした感嘆の声があがるそう。
粒あんは「雲龍」と同じ国産の大納言小豆を使用。しっとりとした口当たりに続き、ほろっとほどける口どけが絶妙でたまらない。小豆の皮の豊かな風味と、上品な甘さが広がる。寒天はスプーンですくっても形を保つ、しっかりとした歯ごたえが特徴。口の中でしゃくっと軽やかに崩れる食感が楽しく、一口ごとに心が弾む。もちっと柔らかな白玉は、甘さ控えめ。抹茶白玉には宇治「丸久小山園」の抹茶を練り込み、濃厚な苦みを活かして丁寧に仕上げている。
あんみつ以外にも、生菓子の抹茶セットが定番

通年で楽しめる甘味には、あんみつのほかに「抹茶セット」がスタンバイ。選べる生菓子は季節ごとに移り変わり、常に2~3種類が揃う。この日のおすすめは、清楚な薄紫の「桔梗」。老舗の職人技が光るなめらかな白あんが入っていて、優しい甘さが後を引く繊細な味わい。目で愛でて、味わってほっこりと、心落ち着く時間が過ごせる。

8席だけの小さなサロンで静謐なひとときを

茶道ゆかりの地に寄り添い、オープンから変わらぬ佇まいのカフェサロン。店内はわずか8席でBGMがなく、静謐な雰囲気が漂う。午前10時など混雑していない時間帯は、しーんと静か。それを目当てに、一人でひっそり訪れる方もいるのだとか。

店先の暖簾をくぐると現れるのは、まるでお茶席に誘われるような風情のある露地。緑が映える中庭を眺めながら、カフェの入口に向かって石畳をゆったり歩く時間さえ、穏やかに感じられる。

販売店では茶菓子がメイン。干菓子も1個から楽しめる


こちらの店では名菓「雲龍」に加え、茶菓子に特化した商品を豊富に取り揃える。他店では予約制の干菓子も、1個から気軽に購入できる特別感がうれしい。ずらりと並ぶ干菓子に、季節や自然のモチーフを思い浮べ、ついお気に入りを吟味したくなる。