名物「みつまめ」に、餡とアイスクリームを添えて

二条駅近くの住宅街に佇むマンション「みつまめ京都朱雀」。その一角に、2023年春、新たな複合施設「MONV . Mitsu Mame・おもや」(えもん みつまめ おもや)が誕生した。上質で洗練された空間に、ギャラリーやセレクトショップ、バー&ダイニング、コワーキングスペースが集い、その中に「和カフェ・みつまめ茶寮。」がある。
マンションやプロジェクトに冠された象徴的な名前「みつまめ」にふさわしく、カフェの名物で一番人気は「みつまめ」。それに、北海道産の餡とアイスクリームを加えた「クリームあんみつ」なら、より贅沢な味わいを堪能できる。

おたふく豆、黒豆、金時豆の3種類の豆と、抹茶と白の2色の自家製寒天が添えられた、彩り豊かな一杯。ふっくらとした豆、抹茶寒天のしっとりとした歯ざわり、白寒天の軽やかな弾力が重なり、ひと口ごとに変化する食感に心弾む。豆腐を練り込んで作る白玉は、ふわっとやわらかく、ほのかに大豆が香り、風味に奥行きを生んでいる。

素材を生かした繊細な味わいに、きび糖で仕立てたすっきりとした自家製の蜜がよく合う。さらりとした口あたりが全体を上品にまとめ、具材の個性を際立たせている。
着物姿の女将による、サイフォンコーヒーをぜひ

毎日、着物姿でカウンターに立つ女将・西村さん。サイフォンと向き合う凛とした姿は、この店の顔として愛されている。南部鉄瓶で沸かした湯を使ったコーヒーは、クリアでまろやかな味わい。

シグネチャーの浅煎り「みつまめブレンド」をはじめ、深煎りの「炭火焼きブレンド」、中深煎りの「オーガニックブレンド」と、焙煎度の異なる3種類を揃える。サイフォン抽出によって、豆の個性が冴え、香りや風味がより鮮やかに広がる。「みつまめブレンド」は、酸味を抑えながらもコクがあり、軽やかさと深みのバランスがとれた飲み口。初めてなら、まずはこちらがおすすめ。
民藝に触れ、味わいとともに楽しむ特別なひととき



木工の家具や表具、器や花器など、店内には「民藝」の作品が随所に取り入れられている。なかでも器は、「民藝運動」を牽引した陶芸家・河井寛次郎の系譜に連なるものを中心に揃え、コーヒーやみつまめ、クリームあんみつといったメニューに実際に使われている。貴重な作品を手に取り、日常の器として味わえるのは、ここならではの贅沢な体験。
さらにギャラリーでは、多彩な作品を紹介する展示イベントを定期的に開催。一部の作品は購入することもでき、「民藝」を求めて訪れる楽しみが広がっている。
京都・二条で出会う、上質な喫茶時間

カフェスペースは、網代天井や下地窓といった伝統の意匠を取り込んだ和の落ち着きと、モダンな心地よさが調和。欅や檜を用いたカウンターや椅子、テーブルは、自然素材の質感を生かした風合いにより、ぬくもりある空間に。

バー&ダイニングやギャラリーとして使われるスペースは、柱がなく開放的。木目が美しいテーブルや椅子とコンクリートの梁の取り合わせが、空間に静謐な美しさ生み出している。通りに面した窓からは陽の光がたっぷりと差し込み、明るく伸びやかな雰囲気。

風に揺れる暖簾をくぐれば、女将のやわらかな笑顔とコーヒーの香りが迎えてくれる。上質な設えと木のぬくもり、「民藝」に囲まれた贅沢な空間で気軽に過ごせるまたとない一軒。
サロンのように文化や芸術を感じ、語り合える場所として。「みつまめ」の名とともに、その魅力がより多くの人に届いてほしい。路地に佇む、京都の隠れた名店。