毎日手仕込みのサルサと自家製トルティーヤ

本格タコスとコロナビールで過ごすメキシカンナイト

三条通から北へ一筋目、木屋町通を西へ入ってすぐ。料理人として多彩なジャンルを経験してきた店主が腕を振るうメキシコ料理店。2017年6月にオープンして今年で9年目。本場メキシコはもちろん、欧米からの観光客も多く、日本を訪れるたびに必ず足を運ぶ海外ファンもいるという。料理はどれも丁寧に手作りしており、酒場というより、料理をきちんと味わうレストランと呼びたい。

メキシコ料理に欠かせない「サルサ・メヒカーナ」は、トマト、ピーマン、玉ねぎ、パクチーを毎日手切りで仕込む。あえてライム果汁や塩などを加えず、野菜そのものの瑞々しさを際立たせている。トウモロコシ粉から作る自家製トルティーヤは、注文ごとに一枚ずつ焼き上げており、香ばしく、もちっとした厚みのある生地は食べ応えも抜群。

それらを使ったタコスは現在7種類。現地さながら、味付けした肉類を主役にした「牛ハラミ」や「ポークカルニータス」が人気を集める。ほかに白身魚フライを挟んだ「フィッシュ」、挽肉とアボカド、チーズを挟むアメリカンな「テクスメクス」も並ぶ。

 

肉や魚をメインに、メキシコの定番タコス3種

牛ハラミ580円

「牛ハラミ」は、自家製トマトソースで炒め煮にした牛ハラミが主役。サルサとパクチーをのせ、チリパウダーを振って仕上げている。

炒めた肉の香ばしさと旨みが噛むたびにギュッと溢れ出す。シャキシャキの野菜とパクチーの香味がアクセントになって、シンプルながらやみつきになるおいしさ。こればかり十数皿も注文した客もいたというから、その人気が伺える。

ポークカルニータス580円

「ポークカルニータス」は、クミン、チリにオレンジ果汁を加えて煮込んだ豚肉を挟むタコス。スライスオニオンとパクチーをトッピングする。

現地では柔らかくなった豚肉を細かく裂くのが一般的だが、ここではあえて塊のまま。噛むたびに繊維がほどけ、口の中でくたくたになっていくさまが楽しい。オレンジの甘酸っぱさとスパイスの香りがふわりと広がる。フレッシュなオニオンが加わり、すっきりとキレのよい後口に。

フィッシュ580円

「フィッシュ」は、メキシコ沿岸部のバハ・カリフォルニア州の伝統料理で「バハ・スタイル」とも言われるタコス。キャベツとマヨネーズが欠かせない。こちらでは紫キャベツの千切りと日本のマヨネーズをのせている。

揚げたての白身魚フライは、瑞々しいキャベツによって軽やかな食べ心地に。もちもちのトルティーヤに、サクサク、ふわっ、シャキシャキと食材ごとに重なる食感が楽しい。マヨネーズが全体をまとめる、完成度の高い一枚。ぜひ、大きな口で頬張ってほしい。

鮮やかなメキシカン・オイルクロスが彩る卓上

卓上にあるソースで自分好みに仕上げるのがメキシカンなタコスの醍醐味。こちらではハバネロソースや、コクと旨味が際立つ京都発のホットソース「マスカラス」を用意する。

ドリンクには、メキシコ生まれのコロナビールやテキーラがおすすめ。マルガリータをはじめ、テキーラを使った各種カクテルや、ビールにトマトジュースやホットソースなどを入れて作る、メキシコで人気の「ミチェラーダ」もスタンバイ。店内の黒板にはおすすめドリンクがずらりと並ぶので、そちらも要チェック。

 

まるでメキシコの小さな食堂

天井を飾るのはメキシコの伝統的な切り絵細工「パペル・ピカド」

壁の配色や賑やかに店内を彩る装飾が、現地気分を盛り上げる。カウンター数席とテーブル1つの小さな空間は、夜になれば国籍を超えてワイワイと盛り上がる客で活気に満ちる。

メキシコ雑貨と野球グッズが並ぶこの店を象徴する一角

メキシコ土産を持って訪れる客も多く、カラフルなドクロ「カラベラ」や民族衣装を着た「レレ人形」、現地のイラストが描かれたショットグラスなどが所狭しと棚に並ぶ。一緒に置かれているのは、日本プロ野球オリックス・バファローズのグッズ。実は、オリックスファンという店主。シーズン中は店内で中継映像を流し熱心に応援しており、外国人の常連客がいつの間にかオリックスファンになっていたというエピソードも。

 

三条木屋町すぐ。陽気においしいメキシコ料理店

間もなく2階は閉め、1階のみの営業に変更予定

三条木屋町から少し外れた静かな路地にある小さな店。メキシコで「愛」や「温かさ」を象徴するサーモンピンクの外観が訪れる人をやさしく迎えてくれる。

メキシコのツバの大きな帽子「ソンブレロ」を被ったドクロのロゴが目印

自然体で客と会話を交わす店主が作り出す、ゆるい空気が心地いい非日常空間。実際、店主のファンも多く、海外からの客の中にはチップを置いていく人も。メキシコ・ペソが多く、その紙幣の一部は店内に画鋲で留められている。これは、中南米の酒場によくあるスタイルで、旅の記念や再訪の約束を示すもの。料理はもちろん、外観、内装の細部に至るまで、陽気で温かいメキシココミュニティへのリスペクトが伺える。

今後はテイクアウトの展開も構想中。本格メキシコ料理が、さらに身近になる日を楽しみに待ちたい。